以下は、マーケティング・コミュニケーション業界の専門誌「キャンペーン」アジアパシフィック版(2017年2月15日号)に掲載された、H+Kアジアのプレジデント兼CEO、ジョン・モーガンによるオピニオンの日本語訳です。


危機に瀕する日本のCEOたち

最近の一連の企業スキャンダルで経営トップが相次いで辞任に追い込まれたが、だからと言って、日本の最高経営責任者が西欧諸国に比べてすぐに辞任すると考えるのは誤解を招く恐れがあるだろう。

日本の企業は、不祥事の発生時に最高責任者たるCEOをどう扱うべきかを含め、企業統治のグローバルスタンダード採用という課題に、依然として直面していることは明らかといえる。

厳格な階級組織の頂点に立つ経営者は、往々にして非現実的な目標を設定する。こうした目標が、権威に疑問を持つことに慣れていない、そして失敗を極度に恐れるような企業文化に与えられてしまった場合、おそらく彼らが選択するのは、外部の専門家に助けを求めることではなく、それを非開示としてしまうことではなかったろうか。

とは言うものの、私は真っ先に日本の経営者を批判から擁護したい。なぜなら、ステレオタイプの紋切型の観念で批判してしまうより、建設的な対話をする方がはるかに良いに決まっているからだ。

危機に直面した場合、日本のCEOすべてが辞任するわけではない。ここ何年かの間に何社もの有名企業が深刻な危機に直面したが、これら企業のCEOはその職にとどまり、責任を受け入れ、勇気を持って誤りの償いをしてきた。CEOが職を辞したケースも、状況が相当に深刻で企業には他の選択肢がなかったのだろう。

しかし、「最悪」の事態が発生したとき、取締役会はCEOの去就をどのように判断するべきなのだろうか。私は以下の質問に関して徹底した議論を重ねることを提案したい。

  • その問題は現在の経営トップが解決できる一度限りの出来事なのか?それとも、会社が抱えている風土病のような問題なのか?
    優れたCEOは部下に仕事を任せるのが常なので、事の細部まで知らなくても仕方がない側面はある。しかし、企業全体の文化として、サービスの不履行、従業員の酷使、嘘などといった極端な状況を容認していたのであれば、CEOはその全責任を負うべきだろう。
  • 信頼は失われたのか?
    取り返しのつかないところまで信頼が損なわれてしまった場合、新リーダーを立てるのが信頼を回復させる唯一の手段となることはよくあることだ。
  • CEOは動揺していたのか?
    世論はCEOを個人的に咎めているのだろうか?CEOは何を知り、いつ、どんな対策を講じたのか? さらに悪いことには、CEOが「それをやってしまった」のか?
  • CEOは国際的なリスク管理の手法やスタンダードを採用しているか?
    独断専行型の日本の経営トップは、率直に意見してくれる独立系の第三者の見方を受け入れ、グローバルなベストプラクティスに関する深い見識を示すことが必要だ。
  • CEOは、140文字であっという間に評判を形成してしまう世の中に対応できるか?
    危機に際して悠長な反応はソーシャルメディアの会話をエスカレートさせ、大きなダメージをもたらす。手に負えないものは内部にいるのではない。日本のCEOはソーシャルメディアの優先度をもっと上げる必要がある。

この1年、多くの日本企業とそのCEOは苦戦を強いられてきた。うまく乗り切ったところもあれば、失敗したところもある。しかし、世界の他の国々でも同様だったとは言えないだろうか?


ジョン・モーガン - H+Kアジア、プレジデント兼CEO

Twitter: @johnmorganhk


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